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札幌文化芸術交流センター SCARTS札幌文化芸術交流センター SCARTSスマートフォンサイト

ひと・もの・ことをつなぐ。創造性の光をむすぶ。


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ひと・まち・アートを語り合う SCARTS CROSS TALK

札幌にゆかりのあるアーティストや、
文化に関わる活動をされている方を
ゲストに迎えて行う、
札幌市民交流プラザスタッフとの対談。
ゲストの活動の紹介とともに、
札幌の文化芸術活動のいまとこれから、
そして、札幌市民交流プラザに期待される
役割について語ります。

ここから本文です。

1

オープニング事業の振り返りを通して。
そこに見るSCARTSの思い。

石井
カジタさん、今度からICC(インタークロス・クリエイティブ・センター)のディレクターになったそうですね。これまでも、シェアオフィスtab.の設立や、演劇団体 ELEVEN NINES(イレブンナイン)のプロデュース、以前はフリースペースATTICの運営や、札幌で活動している人々へのインタビューなど、札幌で幅広く活動されていますが・・・。
カジタ
何者なんでしょうね、僕。
石井
カジタさんは、私たちとは違う領域のネットワークをお持ちということもあり、SCARTSが開館する前から、札幌の文化芸術に関わる方々から広く客観的なご意見をいただく「企画専門委員会」の委員をつとめていただいています。なぜなら、文化行政でまだ踏み込んでいない領域までカバーし、そういった文化が札幌に根付いていることを多くの人々に知ってもらいたかったから。それがSCARTSをつくったときのコンセプトにあるんです。
カジタ
そうだったんですね。
石井
また、SCARTSの空間は多様な使い方ができることを知ってほしいと思っています。特定の文化芸術の領域に偏らない、草の根的なものも表現できる場として活用してほしい。そのきっかけとして、自主企画や連携企画のほかに、市民の皆さんから企画を公募することになりました。そうしたら70近い応募があって、企画内容も粒揃い!当初は5~10事業くらいの予定が、最終的には11事業※の選定となりました。
カジタ
スタッフの方、大変だったでしょうね・・・。
石井
それはもう!2018年12月の写真展を皮切りに、年明けの3月末までに11事業ですからね。写真、映像、絵画、彫刻、演劇・・・。
カジタ
演劇は公開稽古もやっていましたね。
石井
オペラもやりましたし、本当にさまざまなことができることを伝えられたんじゃないかと。これが呼び水になって「自分はこんなことに挑戦してみよう」という気持ちにつながるとうれしいと思い、取り組んだ事業です。カジタさんは公募11事業のラインナップを見て率直にどう思われましたか?実際見た事業で面白かったものがあれば、この機会にぜひ聞かせてください。
カジタ
全体として言えるのは、使い方のバリエーションを色々見せてもらえたなということ。普段は公共施設でやらないタイプの企画も入っていましたし、ハコをただの空間として使うだけではないものを、あえて入れている感じがしました。委員っぽい意見ですけど・・・立ち上げとして非常にいいなと思いました。
石井
ありがとうございます。
カジタ
SCARTSの隣にある図書・情報館の来場者数って、すごいじゃないですか。老若男女が四六時中やってきて、滞留する。そんな中、地元の劇団が無料で公開稽古をする。演劇って、好きな人以外はなかなかお金を払ってまで観に行かない。でも公開稽古をすることで、読書目的で来た演劇に触れたことのない人たちが通りすがりに知るきっかけになる。偶然の出会いがあるって本当にいいですよね。あとは・・・。
石井
コスプレとか、謎解きとか。
カジタ
コスプレの時のここの風景は新鮮でしたね。全然違う目的で来た人とコスプレを楽しんでいる人が混在していて。コスプレイベントって、実は札幌でも盛んに行われているんです。
石井
謎解きもそうですね。芸術の森でもやっていたし、市内には専用スペースもある。
カジタ
ここの謎解き企画が面白かったのは、施設中に謎が散りばめられていたところ。ここに初めて来た人が、謎解きをしながら新しい施設を知ることができる。謎解きという遊びがあることを知ってもらう意味でも面白い使い方だったなぁ。でもトリッキーなものばかりではなく、川上りえさんの個展みたいな展示も面白かったですね。作品の中に入って四方を囲まれる体験が楽しかったです。

※札幌文化芸術交流センター SCARTS
平成30年度公募企画事業

■Sapporo Photo 2018
 札幌「写真都市」祭
■第2マルバ会館 ムービング・ウィンター
■リアル謎解きゲーム「モモイロの箱」
■ワビサビ結成20周年展「ワビサビは
 どこから来たのか?ワビサビは何者か?
 ワビサビはどこへ行くのか?」
■SNOW MIKU 2019
■札幌×コスプレ×マーケット
 サツコマ!
■Nameless landscape
■第17回 サッポロ未来展
■川上りえ個展
 Landscape Will 2019
■北海道教育大学・実験劇場第8回公演
 マドリガーレ・オペラ「土方歳三最後の戦い」
 ~義に殉じた男~(演奏会形式)
■弦巻楽団 わたしたちの街の
 「ジュリアス・シーザー」

※札幌文化芸術交流センター SCARTS
平成31年度公募企画事業

石井
うちは何もしないと、ただの広い空間なので、ある姿のままの壁に作品がかかっているとかではなく、壁の配置やライティングを調整したり、場合によっては暗幕でブラックボックスをつくったり、企画に合わせた空間づくりに重きを置いています。そのために専門性の高いテクニカルスタッフを専属で確保しているんです。今回、公募企画の作家さんとのやり取りで意識したのは、「作品の一番キレイな見せ方」。ワビサビさんの結成20周年では、壁側にクライアントワーク、真ん中のゾーンには壁をつくってアート作品が展示されました。ワビサビさんは以前、「デザインは人のためにするもので、アートは自分のためにするもの」とおっしゃっていて。それをどう見せるか。テクニカルスタッフが一緒になって、しっかり空間をつくれたかなと思います。
カジタ
面白い空間でしたよね。
石井
そういうことも含め、公募企画事業では皆さんにいろんなジャンルを見ていただけたんじゃないかと。カフェに来たら隣で無料の展覧会をやっていたり、「ブルータス、お前もか」と叫んでいたり。「出くわす場」と言いますか、それが面白いかなと。文化芸術って敷居が高いと感じる人が多いですよね。
カジタ
建物の入口に入るだけでも勇気が必要だったりする。
石井
そう。だからこういうところで目に触れると、「意外と怖くないんだ」となる。閉塞感漂う、あるいは各国のナショナリズムが台頭してくる中で、文化芸術という国境も言葉もこえた人類共通の知の営みのようなものが、これまで以上に重要になってきている。そう考えたら、この場所の持つ意味ってすごく重要。本を読みに来たけれど、隣で展示を見て、現代アートや写真って面白いと感じる。札幌市内には他にもそういう展示を見られる場所がたくさんありますから、ここをきっかけに見に行ってほしい。
カジタ
SCARTSの機能って、この空間だけではなく、街全体にどういう影響を与えるかだと思うので、広がる可能性を生み出せるのはすごく望ましいですよね。あと、専属のテクニカルチームを持っているのはすごく重要だと思いました。公募企画事業を行った方に話を聞くと、SCARTSテクニカルディレクターの岩田拓朗さん(SCARTS CROSS TALK vol.4に登場)の名前がほぼ出てくる。「3日かかると思っていたものを、すごい勢いで完成させてくれた」「こんな提案で、とても面白くしてくれた」とか。SCARTSを使えば、新たな考え方ややり方を知ることができる。そうすると、次になにかやる時に「SCARTSで、ああやったから今度はこうやろう」と応用できますよね。テクニカルだけじゃなくて企画や管理方法も含めて。
石井
プラットフォームになりたいんです。私は札幌国際芸術祭で文化行政に関わって、札幌にはさまざまな文化事業に取り組んでいる人たちがいると知り、札幌市民交流プラザができるとき、ここで何をすべきかを考えたんです。自主事業で、立派な展覧会をいくつもやるというのも方法の一つかもしれない。でもそれよりは、市民の創造性を大切にしている街で、創造的な活動をしている人たちのことを知ってもらう入り口になるべきじゃないだろうか。そこで、文化芸術の事業に関するフライヤーなどを札幌で一番集めて、ここに来たらいろいろな情報が手に入るようにしようと。もともとあるものをつないでいく役割に重点を置きたかった。あとは文化芸術の底上げもしていく場所じゃないといけない。専門性の高い人材が関わることで、各所で行われることの質の向上につながればいいと思っています。
カジタ
SCARTSのインフォメーションコーナーについて、SNSで「フライヤー置いてくれるよ」と書いたら結構反応がありました。この施設でやるもの以外も置いてくれるって、みんな知らなかったんですね。あと僕は、SCARTSへ来たついでに、2時間ぐらい時間をとって図書・情報館で本を読んだりするんです。ついでにいろいろできるのも、いいところですよね。
石井
札幌市民交流プラザの特長は、劇場、SCARTS、図書・情報館、カフェ、レストランと、来る人の目的がみんなバラバラなところ。劇場では子ども向けステージから音楽のライブまで行われているので、幅広い年齢層の方が、館内で起こっていることを見ながらエスカレーターを上がっていく。そのときに、ここにこんな場所があるんだって知ってもらえるのは・・・。
カジタ
下から上への流れだと・・・噴水効果?
石井
そうそう。上がっていく中で、いろんな機能を知ってもらえる。窓側の席で勉強したり本を読んだりしている人を見て、今度自分も使ってみようかなとか。これが、アートセンターという単独施設ではない強みですよね。「偶然出くわす」が起きる場というのを意識してやっていこうと思っています。
カジタ
いま、来館者数ってどれくらいですか?
石井
目標は1年間で100万人ですが、幸いにも3月末までの約半年で112万人もの方が来館してくれました。
カジタ
半年で年間目標をクリアしちゃったんですね。
石井
相乗効果がすごかったんでしょうね。あとはいかにこれを維持するか。最初はとりあえず行っておこうというのもあるだろうし。息長く、皆さんの生活の中に取り込んでもらえる場所になったらいいですね

2

ICC、SCARTS。
それぞれが果たす機能と、これから。

石井
ゼロからイチをつくるとよく言われますが、作家さんはアイデアで勝負するすごい仕事。素晴らしい作品に出合うと、これがまさに人間が持つ想像力や創造性なんだろう、この力が新しい明日をつくるんだろうと思います。でも、アートプロジェクトはアーティストだけでは成り立ちません。私は札幌国際芸術祭に関わり、全体のシナリオをつくる人やアーティストのコーディネーターなど、つなぐ役割としてどんな人たちが必要か、札幌はもちろん全国にどういう人がいるかを知ることができました。それが、札幌市民交流プラザの運営を考えるにあたり、アドバンテージになりました。
カジタ
はじめにおっしゃっていたように、札幌にはICC(インタークロス・クリエイティブ・センター)というクリエイター支援施設があります。僕は今後そこで、誰かが求めているものをより良い形で世に送り出すことを目的に、クリエイターさんのコーディネートや、他の産業をつなぐ役割を担うことになりそうです。
石井
いま、話はどれくらい進んでいるんですか?
カジタ
まずはいろいろな人や場所と仲良くしましょうっていう話をしています。クリエイティブ産業の人はもちろん、いろいろな人に関わってもらえる状況をつくりたいですし、さまざまな施設、団体さんとも連携をとっていきたい。文化行政でハコばかりがつくられる状況を良く思わない人たちがいます。それは僕も同じ思いで、同じような機能のハコが増えても意味があるとは思えません。でも、それぞれが目指しているものとか得意な分野などが、ちゃんと色分けされていれば存在する意味があるかもしれない。それがバラバラで動いていてはあまり意味がなく、きちんと連携することが重要だと思っています。ICCは今後相談窓口を設置する予定ですが、SCARTSにも発表の場や助成金などの情報提供をする相談サービスがあります。例えばSCARTSで対応できない相談はICCにふってもらったり、ICCに来たものでも「これはSCARTSのほうが詳しい」と思えるような分野はSCARTSにふったり。相談窓口1つとっても連携できると僕は思います。
石井
各自バラバラで動くと、似たようなことがあちこちで行われることもありますよね。
カジタ
そう。だったら一緒にやった方がいいと思うんです。そして正直、文化ってなかなかお金になりづらい。でも実は文化の中にはクライアントワークになり得るものもある。ICCが、そういう能力を欲している企業の方々と、クリエイターやアーティストをつなぐ場になれば、それは機能として大きいと思います。そういった活動もしていけば、自分のやりたいことももっとできるようになるかもしれない。そういう状況を生みだせるといいなと思っています。

石井
札幌市民交流プラザはもちろん、実はICCも札幌市がつくった施設。ICCは経済観光局の所管で、プラザは市民文化局の所管。2006年に札幌市が「創造都市さっぽろ」宣言をしました。札幌は「ideas city」と言いましたが、世界的に見ると創造都市のことは「creative city」と言いますから、「創造都市さっぽろ」宣言はグローバルスタンダードとは違う成り立ちなんです。それは経済から発生したから。つまり、文化芸術に重きを置きながらも、そこで何を生み出したら実際に産業や経済振興に寄与できるかにウエイトを置いているんですね。
カジタ
そうだったんですね。
石井
ICCがあり、プラザがあり。ものづくりや新しい価値観を生み出しているところに、文化芸術が果たせる役割がある。それがいま、すごく注目されています。国の方向性もそうなんです。「文化 GDP」という言葉をつくったりして、文化と経済が一緒になって新しい価値をつくっていく時代に入ってきています。これまで以上にICCと私たちが、ここで一緒に新しいものを生み出し、札幌からなにか世界に発信できれば。
カジタ
それ、面白いですね。
石井
今、僕らはそういうことができる関係性にあると思うんです。カジタさんが ICCで今後ディレクションをやるようになり、こちらはスタッフの顔も見える。芸術祭がつないでくれた仲というか。
カジタ
そうですね。芸術祭の人たちも、ずっと芸術祭にいる人もいれば、僕みたいにほかのことに関わっている人もいる。他では全く関わりようのなかった人同士が、芸術祭という枠組みがあることで知り合えた。そのおかげで新しい何かを一緒にやるきっかけがつくれる。そういう状況を生みだしていることも芸術祭の1つの成果だと知ってもらいたいですね。
石井
そうなんです。札幌市民交流プラザって、そういう人たちが会って「久しぶり!」「なにやってんの?」というノリで新しいプロジェクトが立ち上がるとか、結構ありますよね。
カジタ
そうですね。何かを見に行った場で偶然会う機会はとても多いですね。そしたらやっぱり立ち話をしちゃう。ここが街の中心部にあるっていうのも大きいかもしれません。アクセスしやすいですから。
石井
いま、なかなかこれだけの文化施設を街のど真ん中に立てられる都市ってないんじゃないかな。
カジタ
ホントど真ん中ですからね。

3

ひとを集め、活動を盛り上げるために。
SCARTSが、すべきこと。

カジタ
僕が以前運営していたATTICというフリースペースは、全部ではありませんが借りてくださった方のイベントの宣伝もしていました。つくり手の方は制作だけでも大変なので、発信まで手の届かないことが多いんですね。今思うと下手くそな宣伝でしたが、それでもやる意味を感じていました。SCARTSでも全てとは言いませんが、ここで行われることをSCARTS自身がより発信して集客を担うとか、お客さんをつくるノウハウを貯めていってほしい。さっきテクニカルの話が出ましたが、集客の部分に関しての技術や手法みたいなものも伝えていってもらいたいと思いますね。それがあれば、みんなSCARTSを通って外に出たときに、もっと強くなる。
石井
ELEVEN NINESを見ていると、本当に上手にSNSを使ってお客さんを入れていますね。
カジタ
いつも無理矢理ひねり出しているんですよ!集客に直結していないものもありますし。ラーメン屋さんと俳優のコラボポスターとかは今後のための種まきだったりする。そのとき演劇を見てもらえなくても、「あんなことやっていた劇団」って、頭の片隅に入れてもらえればそれでいいと思って。
石井
私たちがクリエイティブな発想を持たないと、なかなかたくさんの人にコンタクトを取れないので、そういう面白いアイデアをつぶさに見ながら、研究しながらやっていかなきゃと思います。
カジタ
どんなジャンルでも作品をつくりながら集客を同時並行で考えるのは相当大変。じゃあ宣伝を担う人と組んでやれば…と思いますがそうやっている作家さんは本当に少ないです。なので、SCARTSのスタッフさんに「なかなかお客さん集まらなくて」と相談したら、「こんな方法あるよ」と提案してもらえるだけでも状況は変わるのかなと。贅沢な機能ですけどね。いろんなハコを見ても宣伝を前のめりでしてくれるところって、あまりないんです。ここにそれがあれば、みんなめちゃくちゃありがたいと思うんです。SCARTSを使わない時でも相談できたりすると素敵ですね。
石井
私たちは、ただのハコをつくったつもりはありません。この空間を、皆さんの発想で自由に使っていただきたい。それをサポートする体制はしっかり整えたい。単に貸すのではなく、その中で行われることを、いかに質の良いものにしていくかというサポートをしたい。あとは機能。相談サービスもそうですけれど、この施設には機能がセットである。その機能にも皆さんに着目してもらえるよう、一生懸命発信していきたいです。これだけのものをつくった以上、あそこができて良かったとたくさんの人に思ってもらえる場所にしたい。そのために、スタッフ一丸となって頑張っていきたいと思っています。