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お知らせ

2018年12月10日(月)

札幌文化芸術劇場 hitaru

【公募企画事業取材レポート】札幌舞踊会 バレエ「カルミナ・ブラーナ」③

 札幌市で継続的に活動している文化芸術団体と共に、札幌文化芸術劇場 hitaruの開館から1年間のオープニングシリーズを盛り上げる公募企画事業。この公演に向けた各団体の様子を【公募企画事業取材レポート】と題し、定期的にお届けしております。
 今回は、12月15日(土)上演、札幌舞踊会主催 バレエ「カルミナ・ブラーナ」の関連イベント「『カルミナ・ブラーナ』と現代ダンスのいま」のゲストとしてお越しいただいた、舞踊評論家のうらわまことさんと本作振付の札幌舞踊会主宰・千田雅子さんへのインタビューをお届けします。

※左からうらわまことさん、千田雅子さん
※左からうらわまことさん、千田雅子さん

※左からうらわまことさん、千田雅子さん
※左からうらわまことさん、千田雅子さん

―うらわさんとバレエ

うらわさん
慶應義塾大学にバレエ研究会があったのですが、そこで戦後の日本4大バレリーナのひとりである松尾明美さんと出会いました。最初は生徒でしたが、最後は一緒に踊っていて。「研究会」なので、踊るだけでなくバレエの研究もしていて、その頃から沢山の舞台を観に行っていました。

千田さん
私も東京バレエ団在籍中、沢山舞台を観に行っていて。「君、よく舞台を観に来ているね」と声をかけてもらったのが出会いのきっかけでした。

うらわさん
大学を卒業し就職、会社が忙しくなったり、身体を壊したりということもあって、踊ることを辞めたのですが、踊っていた頃から、時々新聞にも評を書いていて。ダンサーと評論家が同じ名前ではまずいと思って、「うらわまこと」という名前を使うようになりました。うらわまことの由来には色々な説があってね、本名は市川なのですが、「千葉県市川ではなく、埼玉県浦和」とか、「うらわまことおもてはうそ」とか、「うらわはガリーナ・ウラノワから、まことはマーゴット・フォンティンから」。

千田さん
で、どれが正解なの?

うらわさん
それは明かしませんよ。(笑)


―バレエ評論家に移行されたきっかけ

うらわさん
色々あるけれど…引退したら、当時はスタジオを作り、教えをしなければならなかった。男が1人でスタジオをやっても、と思って。一方では色々なところから「評を書いて欲しい」という声があり、それで評を書くことを自然に続けたというところかな。
でも、実は僕の本職は経営学で、3年前まで大学教員をしていました。ダンスの本はあまり書いていませんが、経営学の本は結構書いています。

千田さん
バレエと経営、という一見したら畑違いのようなことをされているのですよね。

うらわさん
でもね、バレエだから、経営だからということに限らず、大事なのは「ひと」なんです。経営学というのは儲けるために人をどう使うのではなく、むしろ人をどう尊重していくのかというのが大事なんですよね。

千田さん
確かにそうね。そして様々な知識をお持ちだから、バレエコンクールの審査員もされたり、沢山の舞台にもよく足を運ばれていますよね。

うらわさん
そうなんです、公演が続くときは…例えば土曜は神戸で、日曜は東京で、月曜は大阪で、なんてこともあってね。多いときは一日3本観るので、昔は…年間300~330本かな。今は公演数が少なくなっているから250本くらい。

千田さん
…すごい公演数ね。(笑)

うらわさん
でも、「ここの振付はどうしてこうなんだろう?」「ここはこうしたらいいんじゃないか?」とか思ったりしながら観るのは結構楽しいもんなんですよ。若い評論家たちによく言うのですが、ただ良いところを観るだけでなく「自分だったらこの演出をどうするか?」とか「このダンスをもっと伸ばすにはどこをどうしたらいいか?」とかそういうことを考えながら観たら、自分の勉強にもなるんです。

千田さん
そして、うらわさんは舞台にも出ているじゃない?王様とか式典長とか。

うらわさん
一番最近は…去年かな。

千田さん
え、去年?(笑)うらわさんはやっぱり舞台を観るのも、舞台に立つのも「好き」なんですよね。だから、彼は私の作品についても必ず本音で言ってくれるんです。

うらわさん
そう、でも、結局評価しているから言えるんです。お互い信頼し合っているから。彼女は、アイディアから何から…才能があります。


―カルミナ・ブラーナについて

うらわさん
振付家が挑戦してみたい3大作品というのがあってね、「春の祭典」「ボレロ」「カルミナ・ブラーナ」なんです。そして「カルミナ・ブラーナ」については、デヴィット・ビントレー・作、佐多達枝・作、そして彼女の作品が3大「カルミナ」だと思っているんです。

千田さん
…え!そんなこと初めて聞きました。(笑)

うらわさん
いや、だって初めて言ったもん。(笑)
「春の祭典」「ボレロ」は比較的クラシックな作品なんです。でも「カルミナ・ブラーナ」は非常に現代的。そんな音楽にこれだけの作品を仕上げた彼女は、本当に素晴らしいと思うんです。20年前に、こんな作品が作れるなんて、驚くばかりです。

千田さん
母(千田モトさん)が色々なジャンルを学び、教えていた人だからかもしれません。私が生まれたときから母は振付をしていました。子どもの頃から深夜に母が振付をしている姿を見続けていた。私自身も結局、作品を作ることが「好き」なんだと思います。そして、この札幌という場所が作品を生み出す後押しになっている。山があって、川があって…もし東京にいたら、この作品を作ることはできなかったかもと思います。自分らしいものが作れる「場所」が私にはあるからかもしれません。

うらわさん
クラシックバレエはもちろん素晴らしいけれど、これだけ先進的な作品をヨーロッパではなく、札幌で観れることがどれだけすごいことかと思います。これこそ「観ればわかる!」です。
そして、この「カルミナ・ブラーナ」に限らず、ダンスというのは、人間誰もが持つ「何かを身体で表現したい」という本能を、わかりやすく、楽しく、ダンサーや振付家が表現しているものですから、「ダンス=難しい」とは考えず、劇場に足を運んでとにかく楽しんでもらえたらな、と思います。


※hitaruにひとこといただきました!
※hitaruにひとこといただきました!

※hitaruにひとこといただきました!
※hitaruにひとこといただきました!


うらわさんのユーモア満載のお話に、終始笑顔が絶えないインタビューとなりました。
バレエ界では知る人ぞ知るうらわさんが「3大カルミナの1つ」と太鼓判を押す、この作品。本番がますます楽しみです。
札幌舞踊会70年の歴史と、hitaruという新しい劇場の融合にどうぞご期待ください!!

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