
札幌文化芸術劇場 hitaru〈ヒタル〉が札幌で活動する芸術家と連携し、「Creative Opera Mix」「Creative Art Mix」など独創的な新感覚パフォーミング・アーツ公演を展開してきた新規創造事業hitaru creationが、新たなコンセプトによる舞踊芸術公演を開催。客席から舞台を眺める鑑賞スタイルではなく、クリエイティブスタジオと6つの展示室を巡り異世界に没入するという、これまでにはないイマーシブ体験の魅力を、ダンサー・演出・構成・脚本・振付を担当する鈴木明倫氏に伺いました。

Akinori Suzuki
DANCE STUDIO LoRe主宰。東宝「エリザベート」トートダンサー役で全国225公演、TBS&ホリプロ「ロミオ&ジュリエット」、香取慎吾主演「オーシャンズ11」、草彅剛主演「シッダールタ」等に出演。またソウル・コヤン・香港・マルセイユの国際フェスティバルに招聘され作品の発表やWSを行う等海外でも活躍する。第59回文団協フェスティバル芸術選賞受賞。令和6年度札幌文化団体協議会文化奨励賞受賞。2025年North/Void Japanを立ち上げ北海道と世界を繋ぐダンスフェスティバルをスタートする。
鈴木明倫インタビュー
——今回展開する「イマーシブ形式の公演」とはどのようなものか教えてください。
イマーシブは、直訳すると“没入”という意味ですが、元々はイギリスの演劇から始まったスタイルで、観客が歩き回って鑑賞したり、ステージに上がったりと、演者との境界線がなくなるような形式です。それによりパフォーマンスの世界に没入し、観客は五感を使って表現を受け取ります。アメリカではホテル1棟を使った演劇が行われたり、東京では常設のイマーシブシアターもありますね。
——見どころや公演の楽しみ方を教えてください。
クリエイティブスタジオのほかに、さまざまな世界観を持つ6つの部屋を設置。はじめにお客さま全員がクリエイティブスタジオで鑑賞し、それからいくつかのグループに分かれて6つの部屋を回って鑑賞し、再びクリエイティブスタジオに戻って鑑賞する3部構成になっています。「身体展覧会」というタイトルの通り、展示された身体をいろんな角度から鑑賞していくわけですが、ダンサーたちはロープで縛られたり、狭いところに閉じ込められたり、物理的に「囚われている」んですね。それを鑑賞者が見るうちに、自分も考え方や人間関係など何かに「囚われている」ことに気づく。お客さまの心の目を開くことが一つのテーマとなっています。
——今回の出演者やスタッフについて教えてください。
今回は札幌のクリエーター+東京のクリエーターで新しい風を吹かせたいという劇場側の思いもあり、イマーシブという世界観からダンスカンパニー「Co.山田うん」の3人のダンサーに出演いただきます。衣裳の石岡美久さんは、機能性とビジュアルを高いレベルで融合できるアーティストだと思っています。また、音楽の小野健悟さんは3年間「Creative Art Mix」で編曲していただき、今回の企画に合わせた音楽を制作いただきます。
——今回のクリエーションは、どのように進行し、現在はどのような段階なのでしょう?
イマーシブ作品は初めての試みなので、誰もゴールが見えず、クリエーションのやり方を模索するところから始まりました。夏に東京チームが札幌に来て打ち合わせしましたが、その際にたくさんのアイデアが生まれ、それまで進めていた脚本を思い切って白紙に戻しました。その後、札幌チームでたくさんの実験を重ねて少しずつ形にしています。2月上旬に東京チームが合流するので、本番に向けてガッチリ仕上げていきたいと思います。
——3月の公演に向けて意気込みを教えてください。
イマーシブ形式の公演は、札幌では初めてに近い試みだと思っていますので、その旗揚げを成功させたいです。そして、お客さまの人生観が変わるような体験をしていただきたい。見る人全員の心が開いた状態で帰っていただけるような公演にしていきたいと思います。
——日頃からダンサーとして、表現者として大切にしていることはありますか?
自分の中で大事にしているのは、脱現状維持。年齢や生活スタイルの変化と共に、表現することも変わっていくはずです。同じことをやり続けるより、未知のことにチャレンジして成長していきたい。今回の作品はとてもハードルの高い試みですが、これをきちんと形にできたら違う景色が見えてくると確信しています。
——今後の活動についての展望を教えてください。
これまでは「北海道から世界へ」という視点で、作品を海外に発信することを目標にしていましたが、これからは「世界から北海道へ」というコンセプトでやっていきたい。昨年「North/Void Japan」という団体を立ち上げ、北海道で国際的なダンスフェスティバルを開催していく計画で、今年11月に第1回を開催予定です。年1回さまざまな地域から出演者を招き、国内、アジアと徐々に広げ、10年後には欧米のアーティストを呼べるようにしたいと思っています。
——最後に読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。
あなたの人生を変えます。この一言に尽きます。ぜひ劇場に足を運んで、人生が変わるような体験をしてください!
IMMERSIVE ART MIX
身 体 展 覧 会
2026 3.14[土]・15[日]
クリエイティブスタジオ ほか
各日①14:00 ②17:00
※各回、15分前から受付開始
各回定員30名
[料金税込]
一般 4,000円 U25 2,000円
※未就学児入場不可