2025
AUG-SEP

8-9

札幌文化芸術交流センター SCARTSでは、札幌の文化芸術活動の振興を図ることなどを目的に、
さまざまな個人・団体を対象とした事業企画を毎年公募しています。
今回は、2025年度採択事業の「宮本一行個展『雪面の歩行/アクティブ・サウンドウォーク』」をピックアップ。
音とのインタラクション(相互関係)に着目し、体験型のインスタレーションを発表してきた宮本一行氏に、
創作の舞台裏や見どころをお聞きしました。

札幌文化芸術交流センター SCARTSでは、札幌の文化芸術活動の振興を図ることなどを目的に、さまざまな個人・団体を対象とした事業企画を毎年公募しています。
今回は、2025年度採択事業の「宮本一行個展『雪面の歩行/アクティブ・サウンドウォーク』」をピックアップ。
音とのインタラクション(相互関係)に着目し、体験型のインスタレーションを発表してきた宮本一行氏に、創作の舞台裏や見どころをお聞きしました。

宮本一行

Kazuyuki miyamoto

芸術家・サウンドスケープ研究者。1987年千葉県生まれ、札幌市在住。2024年秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科複合芸術専攻(博士)修了。現在は札幌大谷大学芸術学部専任講師。環境芸術学会奨励賞(2024年)など受賞歴多数。
https://www.kazuyuki-miyamoto.com/

幼少期から音楽表現に親しみ、千葉県の志学館高等部時代は吹奏楽部でバストロンボーンに打ち込んでいたという宮本一行氏。武蔵野大学環境学部(現・工学部建築デザイン学科)に進み、空間デザインとメディアアートのプロジェクトに参画する中で「サウンドスケープ(音の風景)」という概念に興味を深めていきました。
宮本氏が特に着目したのが、単なる環境音ではなく、自らが周囲にアクションを仕掛けることで鳴り返し、響き返してくる、音とのインタラクション(相互関係)。その環境とともに発した音を捉え直し、再び表象化させるという独自の手法を追求したインスタレーション・アートやサウンドパフォーマンスを一貫して発表してきました。「私たちは常にさまざまな環境音に囲まれて暮らしています。私の作品群ではそこからさらに一歩踏み込んで、人間の動作から環境との能動的な関係をつくり、音を介して、周辺環境との対話を試みるという作曲技法を実践しています」

今回展示される《雪面の歩行》は2023年3月、登山家の服部文祥氏と写真家の石川竜一氏に同行する形で、冬の大雪山系を2日かけて踏破した際に、約12時間にわたって雪面を歩き続けた足音(雪音)をベースに構築された作品。観客は会場の中央に設置されたステージ上を歩くことで宮本氏の山行を追体験しながら、自らの動きで新たな音を奏でることになります。
「普段から山歩きをしているわけではないので、体力的にも極限状態に追い込まれながらのフィールドワークでした。雪道を一定のリズムで歩くうちに、自分の意志で歩いているのか、雪山に歩かされているのか、音の主体がわからなくなる不思議な感覚にもなりましたね」
ステージの床下には、わずかな隙間をあけて振動スピーカーを設置するというシンプルな仕組み。体重移動による床面のたわみに合わせて多様に変化していく音を、耳だけでなく全身で捉えるという稀有な聴取体験が得られます。さらに会場では《アクティブウォーク》の取り組みも紹介します。
「札幌各地のフィールドワークで集めた音も新たに加えて、SCARTSコートならではの音環境をつくり上げる予定ですので、ぜひ会場で体感してみてほしいですね」

宮本一行個展
雪面の歩行/
アクティブ・サウンドウォーク

2025 8.28[木]~9.7[日]
10:00~18:00(28[木]のみ13:00オープン)
SCARTSコート[入場無料]

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